この記事は急性期で勤務経験のある現役作業療法士が書いています。
この記事では、リハビリテーションにおけるリスク管理におすすめの書籍を厳選しています。リハビリを実施する上で、最も大切なことは「リスクを正しく理解し、安全にリハビリテーションを提供すること」です。各疾患ごとのリスク管理はもちろん、急性期では特に呼吸や循環動体などフィジカルアセスメントの理解、検査データや画像所見を総合的に判断する必要があります。
今回紹介している書籍はどれも、療法士ならみんな悩むリスク管理について、わかりやすく解説されています。実際私もお世話になった書籍ばかりで、急性期時代にとても役に立ちました。
リスクを正しく知ることでより安全にリハビリを提供できるようになりましょう。
おすすめのリスク管理本
実践!離床完全マニュアル2
離床!と聞くと身構えるセラピストも多いかもしれません。しかしリハビリはベッド上での介入もありますが、基本的には起こして、車椅子に乗せて、歩いて、トイレに行ってなどベッドから離れて訓練を行うことが多いですよね。
つまり、リハビリには離床はつきものです。その離床を安心・安全に行うために本書があります。
本書では、離床におけるフィジカルアセスメントや身体的なリスク管理だけでなく種々のドレーンや呼吸器など周辺危機に関する知識、血液データや心電図モニター、in-outバランスなど詳細に網羅されています。
さらに、離床時の介助方法や、離床できない方の関節拘縮の予防方法など豊富なイラストで非常にわかりやすくまとめられています。
特に急性期で働くセラピストは手元に置いておきたい1冊です。(離床のお守り本)
フィジカルアセスメント完全攻略Book
フィジカルアセスメントとはフィジカル「身体」、アセスメント「評価」。つまり身体所見を評価するという意味です。患者さんと関わる際、いつもモニターや検査結果が見れるとは限りません。さらに、モニターや検査が見れても身体所見と合わせて評価することが大切です。
「聴診」「視診」「打診」など1つ1つの手技をフィジカルイグザミネーションと呼びます。このフィジカルイグザミネーションの結果を統合と解釈することを『フィジカルアセスメント』と言います。
本書は豊富な写真が掲載されており、呼吸や循環、脳神経、消化器、嚥下など基本的なフィジカルアセスメントが網羅できる内容となっております。
どの病期でも、モニターがない状況でも、フィジカルアセスメントができることで防げるアクシデントがきっとありますよ。
検査・データがまるごとわかる本
病院、特に急性期病院で働き出すと血液検査の結果を目にする機会が多いと思います。見慣れない単語・略語と数値が、、、見るだけで頭を抱えるところですよね。
リハビリテーション職種が検査値を見る上で大切なのは経時的に見ることです。
医師が行った治療効果や病気や症状の進行を推察することができ、起こしていい状態なのか、そっとしておいた方がいい状態なのか、そういった判断の一助となります。
もうひとつは「危険!」に気付けるかどうかです。より安全にリハビリ介入を行うために必要なのは危険に気付けるかどうかです。
本書では臨床上危険な値を「アウト」と「値」で「アウ値」という言葉を用いて解説されています。
臨床心電図判読上達ハートフルガイドBook
離床マニュアル2にも心電図のことは掲載されていますが、本書はより心電図に特化した書籍となっています。
循環器をよく見る方や、ICU、HCUなどに入院中でまだ循環動態の落ち着いていない患者を担当するセラピストにおすすめです。
疾患別リハビリテーションリスク管理マニュアル 第2版
疾患別リハビリテーションリスク管理マニュアルは、これまで紹介してきた書籍と著者が変わります。編集は聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーションセンターです。
本書では、脳外科、循環器、呼吸器、整形外科、腎臓病、糖尿病など総合病院で扱う疾患を網羅的に病態や治療も混じえて解説してくれています。
もう少し具体的にいえば、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、高次脳機能障害、心筋梗塞、心不全、心外術後、大動脈疾患、
急性・慢性腎障害、透析整形の手術療法、保存療法、このような形で詳しく解説されています。
手元にあれば、幅広い疾患や治療に対する理解が深まるので、さまざまな疾患に対応することができます。
リスク管理のおともに
聴診器
聴診器といえばリットマン!呼吸音だけでなく腹部の聴診にも使用できます。
心音を正確に聴診するにはもう少し高価な聴診器が必要ですが、リハビリテーション科での使用にはこのリットマン、十分すぎます。
ペンライト
出番が多いわけではないですがあると便利!そんなアイテムです。
STさんは口腔内の観察でよく使用されています。
まとめ
- リスク管理に関する書籍を5冊紹介しました。
- 離床学会さんの書籍はイラストが多く実技がわかりやすい
- 疾患別リスク管理マニュアルは病気をちゃんと理解する
- リスクを正しく理解することで安全にリハビリ介入ができるようになります。
- 特に新人療法士さんはリスク管理を勉強することで病気や治療に対しての理解が深まるのでリハビリ提供にも良い影響を与えてくれます。
わたしのおすすめは、
離床学会さんの書籍で実技的な要素を学びつつ、「疾患別リスク管理マニュアル」で病気のことをちゃんと理解する。
こういう方法も1つかなと思います。
ブックマークしておくとあとから見返せて便利です。
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