理学療法士、作業療法士として働き始めると、必ず経験するのがリハビリテーションサマリー(以下リハサマリー)。ほとんどは就職先の病院や施設に雛形(テンプレ)があり、それに沿って書けば問題ありません。
しかし、その雛形(テンプレ)も古かったり、わかりにくかったり、自由記載の中にどんな内容を書いていいのかわからない。そんな声も聞こえてきます。
この記事ではリハサマリーに書くべき項目や流れを例文を書いて紹介します。
*例文は急性期で働く人向けの内容になっていますが、書くべき項目はどの病期でも共通して使っていただけると思います。
リハビリテーションサマリーに書くべき項目
- 患者情報
氏名、生年月日、年齢、性別、疾患名、既往歴 - 病歴・治療経過
現病歴(今回発症した経緯などの詳細)
治療経過(入院日、手術の有無、治療方法) - リハビリ開始日と経過
いつからリハビリを開始し、現在までの進行状況 - 評価
身体機能の評価(ADL、ROM、筋力、協調運動、感覚など) - リハビリ内容
実施した具体的な治療や訓練内容(作業療法、理学療法など) - 現在のリハビリ進捗状況
患者の状態、改善された点や現時点での課題 - 今後の目標と計画
短期・中期・長期の目標
次回のアセスメント予定や予定されているリハビリ内容
例文1:70代男性 脳梗塞 発症後2週で転院
患者情報:
- 氏名:田中太郎(仮名)
- 年齢:70歳
- 性別:男性
- 疾患名:脳梗塞
- 既往歴:高血圧症、糖尿病
病歴・治療経過:
- 現病歴:2025年1月4日、自宅で左上下肢の脱力を自覚し救急要請。検査の結果、脳梗塞により入院の運びとなる。
- 治療経過:(外科的治療か内科的治療か。t-PA、血栓回収など実施されているものがあれば記載する)
リハビリ経過:
開始日
2025年1月5日より作業療法を開始。
初期評価:(心身機能、ADLレベルを記載する)
介入当初より、意識は晴明でGCS:E4V5M6。認知機能の低下はなくコミュニケーションに大きな問題はなし。
Brs-Tは上肢Ⅳ、下肢Ⅴ、手指Ⅳと、上肢有意の左片麻痺を認めた。感覚は表在感覚軽度鈍麻で軽度の痺れの訴えあり。
ADLは起居動作〜車椅子移乗まで軽〜中等介助。動作中に軽度の左半側空間無視と注意散漫な様子を認めた。
リハビリ内容:
- 上肢機能訓練:ROMex、神経筋再教育、物品操作練習など
- 高次脳機能訓練:左半側空間無視、注意障害に対する環境設定や声掛け、机上課題など
- ADL訓練:排泄動作練習、更衣動作練習、清容動作練習、食事動作練習
現在の進捗状況・最終評価:
左片麻痺はBrs-Tは上Ⅴ、下肢Ⅵ、手指Ⅴと改善傾向にあるが上肢の麻痺は残存。ADLは独歩にて排泄動作自立してしているが左上肢の不自由さの訴えあり。高次脳機能障害も概ね改善し、現在は左上肢機能訓練を中心にリハビリテーションを実施している。
今後の目標と計画:
今後は左上肢のADL、IAD Lへの参加向上を目標に、上肢機能訓練だけでなく生活場面での使用を拡大させていきたいと考えております。
例文2:80代女性 大腿骨頚部骨折 術後2週で転院
患者情報:
- 氏名:山田花子(仮名)
- 年齢:80歳
- 性別:女性
- 疾患名:右大腿骨頚部骨折
- 既往歴:高血圧、糖尿病、骨訴訟症、腰椎圧迫骨折
病歴・治療経過:
- 現病歴:2025年1月10日、犬の散歩に行こうとした際に玄関で転倒。右下肢の疼痛と体動困難で救急要請。検査の結果、右大腿骨頚部骨折の診断で入院の運びとなる。
- 治療経過:1/11 人工骨頭置換術 1/12リハビリ介入開始
リハビリ開始日:
2025年1月12日より作業療法開始。
初期評価:
介入当初より、右下肢の疼痛は比較的軽度で、可動域・筋力ともに良好でした。全身状態、痛みに応じて離床を開始し、車椅子移乗、排泄動作へとADL練習を中心に実施しています。
リハビリ内容:
- 関節可動域訓練:右股関節を中心に
- 筋力増強訓練:右股関節周囲筋の自動介助運動、他関節の抵抗運動
- ADL動作訓練:起居動作、移乗動作、排泄動作、更衣動作、病棟歩行訓練
現在の進捗状況・最終評価:
術後2週経過し、ADLは歩行器歩行で病棟排泄動作自立しています。更衣動作は下衣操作は可能なものの、靴下の着脱は介助が必要な状態です。
今後の目標と計画:
元ADLは独歩で毎日犬の散歩に行くことが日課でした。本人様としては、「再び犬の散歩がしたい」との希望があり、杖歩行または独歩の獲得を目指したいとのことです。
まとめ
かなりざっくりとした例文にはなりましたが、発症直後の状態と現在の状態、元ADLや本人様の性格特性なども踏まえて記載すると、伝わりやすいリハサマリーになると思いますよ。
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